日馬富士

日馬富士 「昭和の匂い」を次の世代に刻み込んでほしい





稀勢の里戦での日馬富士の鋭い立合いが、まだ記憶に新しい今日この頃。今月で33歳になるようですが、いよいよ円熟の境地というところでしょう。

10年前の3月に、「天下泰平記」というメールマガジンを始め、今も細々と続けているわけですが、最初に力士個人のコラムを書いたのが日馬富士についてでした。

題して、「ゆっくり太れ、安馬」でした。この10年、日馬富士はゆっくり太って、優勝も8回という立派な横綱です。ゆっくり太って、期待通りに、「昭和の匂い」のする力士となりました。

メールマガジンを始めたときの気持ちは、「力士の重量化と、それに伴う、淡白な相撲内容」を何とかしてほしい、という想いでした。日馬富士は内容のしっかりとした相撲をとってくれる、という期待が「昭和の匂い」という表現になったわけです。

三役から大関に上ろうとする頃は、立合いの当たりはあるものの、軽量を意識してのことか目一杯当たりすぎて、その隙をつかれる相撲が目立ちました。立合いに、二の矢まで意識した相撲をとってほしいと、当時はよく書いていました。やがて立合いも安定し、横綱へ・・・。

春場所の稀勢の里戦の立合いなど、日馬富士の真骨頂です。その集中力の粋を極めた、見事な立合いでした。ここ一番は、さすがの相撲を見せてくれます。

日馬富士は、常に足が万全ではない状況で相撲をとっています。今の33歳と昔の33歳は違うとはいえ、これは本人にしか分からないことです。

今までが白鵬世代、つまり同世代との戦いだったのが、これからは若い世代との戦いとなってきます。「昭和の匂い」と私が感じた日馬富士の厳しい相撲を、若い世代の力士の体に刻み込んでほしい、これからの土俵が淡白な相撲にならないためにも、辛辣な相撲を期待しているところです。




力士名鑑 : 日馬富士

 

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