龍虎

龍虎 の突っ張りと肩すかしは華やかでした





引き技が大好き、という相撲ファンはそんなに多くはいないでしょう。いきなりの叩き込みで勝負が決まれば、ガックリと力が抜けてしまいます。北の富士の、「黄金の引き足」というのもありましたけど。
あまりいなかったでしょう。

186cm・132kgという立派な体で得意技が肩すかし、それでも大喝采という力士がいました。北の富士と同期入門の龍虎です。昭和43年春場所に入幕したとき、龍虎はすでに27歳になっていました。均整のとれた大型力士で、とにかく男前。大鵬や北の富士も美男横綱でしたが、龍虎は派手で濃い顔立ちの美男力士でした。

そして新入幕場所でのいきなりの大活躍。気持ち良いほどの回転鋭い突っ張りと、思い切りの良い肩すかし。この取り口が龍虎の派手な顔立ちに、ピッタリとはまりました。この場所、千秋楽まで優勝の可能性を残しての11勝4敗で敢闘賞。江戸っ子力士の粋な雰囲気と、気風の良い相撲でスター力士となりました。

龍虎 肩すかし

土俵狭しと大乱戦。これしか無いという感じの引き技、華やかでした。ただ、最近の引き技とは少し違います。引かれる方も簡単に前に落ちる体型ではないので、引き技も簡単ではありません。だからでしょう、突っ張りと肩すかしの流れるような相撲は、美しさを感じましたね。

四つ身になると、強くはありませんでした。ほとんどの相手は吊りにきました。吊りにくるということは、四つ身の龍虎は格下扱いだったということでしょう。その吊りにくるところを、タイミングの良い外掛けで決めるのが得意手でした。

大負けもしましたが大勝ちもする、相撲振り同様に成績も派手でした。そして昭和46年九州場所、30歳で左アキレス腱断裂。幕下まで落ちながら昭和50年初場所、34歳で小結に返り咲いたのは見事でした。

引退後はご存知のように俳優として活躍。暴れん坊将軍での北島三郎率いる、め組の火消し役は当たり役。松平健にも引けを取らない男っぷりを見せましたね。ここまで本格的な芸能活動が出来る力士は、龍虎以前も以後も現れていません。

今、肩すかしを引いて大歓声を受ける力士・・・、ちょっと思いつかないですね。




力士名鑑 : 龍虎

 

砂かぶりの夜

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA