安芸乃島 貴闘力

若貴時代の大物食い、 安芸乃島 と 貴闘力 は相撲の型も性格も正反対





安芸乃島でまず思い出すのは、旭富士を外四つで引き付けて身動き出来なくしていた場面です。あのバランスの良い体格で、柔らかくて抜群に相撲が巧くて、そんな力士もここまで引き付けられると何もできなくなるのかと、安芸乃島の強さに感嘆しました。

小錦にも圧倒的に強かったのですが、勝ったあとの、勝って当然といった表情と物腰も安芸乃島独特のものでした。これは相手に対する安芸乃島の礼儀の現われかもしれませんが、見ている方にはとっては、むしろ旭富士や小錦が弱々しくうつりました。

最強の関脇といえば長谷川か琴錦でしょうが、上位に対して最強だった関脇は安芸乃島が史上最強で問題ないでしょうね。金星獲得と三賞受賞の記録保持者ですから。写真は横綱北勝海を、力でねじ伏せる安芸乃島。

安芸乃島 小手投げ

旭富士と小錦に強かったわけで、それは時代としては千代の富士時代なのに、安芸乃島には若貴時代というか二子山時代の象徴のような存在でもあり、つまり本当に息の長い力士だったわけです。体重は充分にあったけれど、身長は174㎝。それも大乃国や小錦、曙に武蔵丸といった重量化時代がすでに始まっていた時代ですから、やっぱり安芸乃島は凄い。

安芸乃島と同じく二子山部屋全盛期を支えた関脇、貴闘力。突き押し相撲でしたが若干の腰高で、いなしや引きの巧さや乱戦で廻しを引いたときの対応力など、格闘センス全般で勝負していた力士でした。そして何より気合相撲、10回の敢闘賞。

曙に強かったわけですが、貴乃花や若乃花が同部屋で当たれないために、三賞を取りたいために曙戦に闘志を燃やしたとは、貴闘力らしい話です。また二丁投げの使い手でもあり、また千代の富士や曙にはとったりを決めていますので、かなりの曲者というか業師でもありました。

貴闘力 二丁投げ

平成12年春場所、幕尻での平幕優勝は語り草となっています。追いかける武蔵丸を14日目に貴乃花が破った援護射撃が印象に残っていますが、貴闘力も準優勝の武双山を12日目に直接対決で勝っています。優勝を決めた雅山戦も、雅山に優勝の可能性がある中での取組に勝ったもので、立派な優勝でした。

ところで私は貴闘力を、うっすらと長州力に似ているなぁと思いながら見ていました。漢字3文字で、最後が「力」という共通点がありましたし・・・。佐々木健介が中学の柔道部の一年先輩というのは、当時は知りませんでしたけど。

安芸乃島も貴闘力も、二子山全盛時代を彩った個性豊かな関脇でした。

大相撲力士名鑑 : 安芸乃島 貴闘力




2件のコメント

  1. 現在、安芸乃島と貴闘力は仲悪いのか?
    確かふたりが現役の頃、競馬場に着物姿ではない服装でいるところを写真週刊誌に撮られたことがあると記憶している。公式か非公式かわからないが、注意もされていると思う。
    現在はSNSの時代で、力士がTシャツ姿で食事している写真が山ほどアップされているが、若貴時代はまだ力士のドレスコードは厳格だった。
    「昔に戻せ」と言っても現在は2017年だ。ただ力士の神秘性みたいなものが失われつつあるのは些か残念だ。

    1. shin2さんへ
      コメント、ありがとうございます。
      たしかにSNSで、力士のイメージも変わったかもしれませんね。その中で稀勢の里は、力士の神秘性を保っているように感じます。力士には、やはり着物が似合う雰囲気を持っていてほしいものです。北の富士なんかは、着物姿もタキシード姿も似合っていましたが。

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