照ノ富士の夏場所が、まったく綱取り場所ではないのは仕方がないことです。過去一年間で、大負けが断続的に続いていましたからね。しかし、「初場所の稀勢の里も、最初は綱取り場所という感じではなかった」という人もいるようです。
過去の例で考えますと、まず平成18年春場所の栃東を上げてみましょう。初場所に14勝1敗で3度目の優勝の栃東は、もちろん春場所は綱取り場所でした。それではその前の平成17年九州場所はというと、2勝2敗11休でした。2場所前の成績は考慮されていませんでした。
次に平成20年名古屋場所の琴欧洲。夏場所に14勝1敗で初優勝、名古屋場所はやはり綱取り場所でした。それではその前の春場所はどうだったかというと、2勝7敗6休でした。ここでも前々場所の考慮は無し。
まぁ、照ノ富士の場合は優勝ではなく優勝同点なので、その点は違います。ただ一昨年の活躍の記憶がありますので、当時の栃東や琴欧洲よりも地力の点では優っている印象があるのも確かです。
ここで一つ思うことがあります。それは今、四横綱時代というところです。シンプルに言えば、仮に横綱不在の場所で優勝するよりも、4人の横綱がいる中で優勝をする方が快挙ですね。
過去に、五横綱時代は無いですからね。この写真も場所後に引退した照國と、翌場所に横綱に昇進する鏡里が同時に写真に納まっているだけです。
他にも東富士が引退する翌場所に栃錦が横綱昇進というのがあって、やっぱり五横綱で写真に写っています。番付上は無いことだけに、記念撮影をしたかったのでしょうか。
これは別の話ですけど、大関昇進の直近3場所で33勝も、横綱・大関が手薄で新大関が望まれるときと、強固な上位陣相手に33勝するのは中身が違いますね。
魁皇なんて関脇時代に、横綱・大関だけじゃなく関脇・小結まで凄い時代で10勝・11勝を続けても、当然のごとく大関昇進の話など出ませんでした。
そういうタイミングが、のちのち振り返るとドラマになるんでしょう。ということで、四横綱相手に照ノ富士がどんな・・・あっ、日馬富士とは当たらないから三横綱だった。
強い、ということなら照ノ富士は横綱クラスだ。
ただ両膝のケガは、たぶん現役を続ける限り治らない。そんな膝なのに先場所の豪風戦、やぐら投げ風に吊り出してみたり、遠藤戦の強引な相撲でまた膝を痛めたりで、もう少し体のケアも考えてほしい。
陽気で気の強い、愛すべきキャラクターの力士だが、琴奨菊戦の変化でヘイトスピーチ問題が起こってしまったのは気の毒だった。
千秋楽の稀勢の里戦、本割と決定戦の連敗について、言いたいことは山ほどあっただろうが、ほぼコメントなしで終わったのは正解だった。
2年前優勝したゲンのいい夏場所だ。いい相撲を取ってほしい。
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
立合いの変化への批判は、力士の重量化と淡白な相撲の増加を助長するものですね。アナウンサーまで変化を非難するようなコメントをするのは、ちょっと閉口します。先日のテレビで増位山と若乃花が、立合いの変化の奥の深さを語っていました。
照ノ富士は、胸の合わせ方が意外と巧い力士だと思うのですが、力を前面に出す相撲が多いですね。貴源治の世代を迎え撃つ立場として、高安と一時代を築いてもらいたいと思います。