御嶽海

御嶽海 には桑田真澄に通じる新しい時代性を感じさせる何かがある、こじつけだが





御嶽海が14日目に初優勝を決めました。高安戦や豪栄道戦で出し投げを見せていたので、栃煌山が両差し狙いで差しに来るところを出し投げかな、などと思っていたら、真正面から四つに。格の違いを感じさせるような取口でした。

御嶽海のここまでの相撲で一番印象に残ったのは、高安戦と豪栄道戦。高安には右の出し投げ、豪栄道には左の出し投げを見せたところ。右でも左でも出せる、ニュートラルな巧さ。

昨今はオールラウンドな力士が多く、四つでしか相撲が取れない力士や、「四つになったら三段目」的な突き押しの力士もいない。実際のところは平成になってぐらいからの話で、今さらではないが。

学生相撲出身力士の増加も一つの要因だろうが、この「相撲の型」を御嶽海は究めるかもしれない、という気がする。突き押しにしろ、両差しにしろ、出し投げにしろ、その武器を繰り出す状況判断の良さと、実際に行動に移せる運動神経。

突然、桑田真澄を思い起こした。現役当時の桑田の配球術は、状況判断とそれを出来る運動神経によって支えられた。桑田が語る、「ブルペンでの150㎞の無意味さ」と「手も足も出ない130㎞台のストレート」も御嶽海に通じる部分が。

稽古場で弱く、本割に強いと言われる御嶽海。それがどの程度のレベルのことかは、稽古を見に行ったことも無いので分からない。昔、やはり稽古場で弱かった高見盛に本割で敗れた力士が、「ふざけやがって」と激怒したという話もあった。

御嶽海に敗れて激怒したという力士の話は、・・・鶴竜はそんな感じの時もあったかな。相撲の稽古場と野球のブルペン、似てるのか似てないのか。まぁ、突き押しと両差しと出し投げを、ストレートやスライダーやチェンジアップに例えるのも微妙か・・・。

御嶽海の取口と桑田真澄の野球理論を結びつけるのは、こじつけなのだが、否定するのも難しいかもしれない。だからと言って、これによって「御嶽海は稽古場に弱い」を肯定するのも、これもまた微妙ではあるが。

しかし、御嶽海がある種の時代性を意識させる力士となっていく、そんな予感はある。何と言っても、バブル経済崩壊後に生まれた力士で、初の優勝だし。

野球(というよりスポーツのトレーニング全般)における桑田真澄の考え方は、従来のものを古臭く感じさせるものがある。御嶽海の相撲にも、そんな何かを期待できるかもしれない。ただ・・・体重増加にだけは気を付けよう。

大相撲力士名鑑 : 御嶽海




2件のコメント

  1. 御嶽海は初土俵から3年半で優勝したが、2年半で優勝したのが横綱輪島だ。ともに天才型の力士だが「稽古が少ない」という評判もずっとついて回った。
    ウィキペディアによると、御嶽海は大学卒業後、角界入りではなく、和歌山県庁への就職が内定していたという。大相撲を「修行の場」ではなく「進路の一つ」として割り切った、醒めた捉え方をしているのだろう。連日の大応援団のイメージで、勝手に熱血タイプだと思い込んでいた。
    今後、このタイプの力士が増加しそうだ。体重増加も気を付けないといけないが、車イスが花道に出てくるような大ケガにも注意しないといけない。だから稽古場で弱いわけではないのだろうが。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    ジャンボ鶴田が全日本プロレスに「入門」ではなく、「就職します」と語ったのは45年以上前のことです。最近の学生相撲出身力士に共通しているのは、大相撲入りすることを「プロになる」という言葉を使うことですね。アマ相撲とプロ相撲、「大相撲」という言葉は使いません。大相撲ファンにとっては、アマ相撲と大相撲は別物と考えておりますが・・・。その点を、また改めてコラムに書いてみたいと思います。

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