阿武咲 貴景勝

貴景勝 の横綱へのカギはトリプルクロスカウンターだ、何でやねん





新大関、貴景勝には「突き押し相撲の大関」という枕詞がついて回っている。そして、今の相撲のままで横綱は可能なのか、という話も出ているようだ。

かつては、若羽黒・大受・千代大海、それ以前になると見たことが無いので分からない。若羽黒は稽古嫌いと呼ばれたが、実際は食生活と体重に関係した内臓系の弱さによる、稽古の少なさもあったのではないか。

逆に大受は、当時としても稽古量は際立った力士だった。それゆえ体は小さかったものの大関を張ったわけだが、ケガのために早期で陥落。そしてご存知の千代大海は、ご長寿大関。

若羽黒と千代大海は、横綱を期待された時期もあった、短い期間ではあったが。だから貴景勝には、押し相撲だけでは横綱は無理だろう、という話が多そうな気がする。

これについて、2年ぐらい前には「大関候補は御嶽海と貴景勝だが、横綱の可能性は阿武咲と貴源治にしか感じない」みたいなコラムを多く書いていた、と思う。

それでは今はどうかというと、貴景勝が完全に相撲の型を確立した今ということだが、ほんの少し横綱の可能性は出てきたかもしれない、正しくは「可能性が出てくるという可能性がある」・・・ややこしいし、正しくもないか?

押し相撲の横綱は、極めて少ない。栃木山は、貴景勝とは型が違い過ぎる。それでも可能性の話が出来るのは、貴景勝の相撲の型は斬新なものだからだ。若羽黒や千代大海とは違う。

貴景勝は引きながら突き、押すことが出来る。昔ならば、引き技は引くか体を開くかだった。貴景勝は従来にない突き押し相撲が出来る、というのが可能性を感じさせるところだ。

リーチの短さを利用した矢継ぎ早の突き押しは、短所を長所にしてしまった。そして例の相手の突き手を引く、近年流行りの引き技。もちろん、得意のいなしと突き落としもあるけど。

突き手を引く引き落としは、豪栄道に代表されるが、千代大海の時代には記憶には無い。だから貴景勝の相撲は新しい、進化型と言える。(モンゴル力士の、内無双を切りながらの投げ技も進化形だろう)

ということで貴景勝には、極めて少ない「押し相撲の横綱」の可能性・・・という論理立て・・・、にしております。自信が無いと、丁寧語になるなぁ。

しかし豪栄道の引き技よりもフォームは小さく鋭く、だから貴景勝の動きは洗練されている。何より、相手の突き手を引くのは、頭を叩くよりも仕掛ける位置が低い。つまり自分の重心が浮かないので、リスクも少ない。

やがてさらに進化して、貴景勝の引く手を空振りさせて引くという、クロスカウンターのような技で対抗する力士も現れるかも。さらにさらに進化したら、それをも利用する、あしたのジョーのトリプルクロスカウンターのような引き技も生まれるのか・・・。想像することは出来ないが。

大相撲力士名鑑 : 貴景勝




2件のコメント

  1. >>リーチの短さを利用した矢継ぎ早の突き押しは、短所を長所にしてしまった。
    その短いリーチを掻い潜って密着してくるのが豪栄道と御嶽海だ。ともに対戦成績は貴景勝の3勝7敗、御嶽海戦は5連敗中だ。
    とにかく大関には昇進したが、突き押しを封じられたら、現時点ではまったく対応策がない。
    四つ相撲をマスターする必要はなくても、なんらかの対応策がないと横綱昇進は無理だ、と思ってしまう。考え方が古いのかも知れないが。
    見本や手本になる力士がいない、独自の相撲を開発している新大関だ。新元号に新しい相撲を見せてほしい、とベタに終わります。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    貴景勝は将来像の雛形が無い、そんな相撲ですね。どんな進化を見せるのか、楽しみにしましょう。豪栄道には、まだ力負けというのが現状で、これは致し方ないでしょう。御嶽海にも、御嶽海に巧さ負けというところでしょうか。それでも御嶽海が他に星を落とすのは、相撲の型を持っている力士と持っていない力士の差ですね。

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