貴景勝

9日目の 豊山 戦で 貴景勝 の相撲は本来の相撲の逆だった、まずは体を万全に





大相撲春場所も折り返し、9日目で一番気掛りだった相撲は貴景勝の黒星。豊山にかいなを捕まえられて、そのまま寄られるという、珍しい形での勝負の決まり方となった。

貴景勝の良いところが、まったく消された相撲となった。なぜなら今の力士の中で一番、かいなを捕まれないはずの貴景勝なのだから。絶対にこういうことが起こるはずが無い、となるべきなのが貴景勝。

平成30年秋場所、10日目から6連勝して9勝6敗。翌場所に初優勝を果たして、大関への足掛かりをつかんだ貴景勝。その10日目の相手が、奇しくも豊山だった。

そのときの豊山戦で、私はコラムを書いた。貴景勝の突き押し相撲は、ヒット&アウェイの型を完成した、みたいな内容で。そのヒット&アウェイの一番の特徴は、突き手の「引き」の速さだ。

その引きの速い突き手を、今日は捕まえられたのだ。完全に本来の動きが出来なくなっている。貴景勝の突き手の引きの速さは、動きの中で体勢が崩れない、体のバランスの良さにある。それが出来ないのは下半身、特にヒザの具合が影を落としているのだろう。

もう一つ、平成30年秋場所10日目から翌九州場所にかけての貴景勝の相撲は、極めてリズミカルだった。同じ意味で言い方を変えれば、力みの無い相撲だった。八割方まで突いて押して、速い引きから次の突き手へ。この繰り返しで、小刻みに前進した。

今の貴景勝は十割まで押している。力みもある。下半身の不安とともに、大関として負けられない重圧。今日の張り手の空振りも、力み過ぎた結果に見えた。

今日の解説で高砂が、貴景勝のヒザについて「痛いとか言ってられない」みたいに言っていて、その通りなのだが、今の貴景勝には厳しい。8勝や9勝ならいけるかもしれないが、新旧交代のこの時期、存在感を示してほしい。

大相撲力士名鑑 : 貴景勝




2件のコメント

  1. 尾車親方は
    >>何度でも言う。貴景勝には押し相撲しかない。
    >>https://hochi.news/articles/20200309-OHT1T50231.html
    と仰るが、尾車親方=大関琴風も左四つがぶり寄り1本の相撲だった。
    当時の横綱北の湖とは対戦成績3勝20敗、千代の富士・隆の里にも徐々に勝てなくなっていった。膝の重傷もあったが、結局28歳で引退した。

    貴景勝のヒット&アウェイも、小兵の炎鵬には効果があったが、大きな豊山には突き手を捕まえられた。総合格闘技なら、ストライカーがグラップラーに腕を極められたようなものか。
    現在のままなら「平成30年秋場所10日目から翌九州場所にかけて」がピークの力士で終わってしまう。うっかりすると大関陥落するか、20代で引退するだろう。太く短い相撲人生も選択肢のうちだろうが、現在大関は一人だ(貴景勝の前の一人大関が琴風だった)。もう少し頑張ってもらわないといけない。
    体のメンテナンスと同時に、四つ相撲にも対応できるように相撲を変えていく必要もあるか。尾車親方には怒られるかも知れないが。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    貴景勝の四つ相撲の可能性・・・以前のコラムでは貴景勝のすくい投げの強さを書いたことがありました。確か中学相撲の決勝戦で阿武咲に勝ったのも、下手投げ(すくい投げ?)だったと記憶しています。しかし、上手からの攻めは想像しにくいですね。寄りにしても、御嶽海を寄り切ったときにヒザをやってしまいました。昔、ヒザを痛めたことがきっかけで、突き押し相撲から四つ相撲に変えて、横綱にまでなったのは鏡里、凄く地味な、堅実な寄り相撲だったと言われています。そういう独特の技術を持てるかどうか、でしょうね。

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