北の洋

佐田の海 が超えるべきは 佐田の海 ではないのだ、目指すは小結ではないのだ





7月場所の注目の力士なのだが、佐田の海を外すわけにはいかないだろう。元々が速攻を得意とする力士だったが、攻め方が雑という印象を持っていた。しかし、特に先場所の相撲は見事だった。

35歳になって、攻めが研ぎ澄まされてきたというか速い中にも理詰めで、ただただ速いだけではない、何て言うか、一本芯の通った骨太の速攻だ。緊張感がピシッと走る攻め、と言うべきか。7月場所で、本当に久々に幕内上位まで来た。

父親の佐田の海とは同じ速攻相撲でも、型としては違う。先代の佐田の海は速いだけでなく、巧さも際立っていた。攻めの速さとともに前捌きの巧さもあって、前に出る速さだけではなく、巻替えのような細かい動きでの速さがあった。運動神経が良さそうだな、という力士だった。

今の佐田の海には、そういうイメージは無い。速さはあるが、不器用な部分もあって、自分の速さを逆に利用されることも多かったような気がする。お父さんの方は、利用する側の力士だったと思う。

もちろん、今の佐田の海の方が勝っている部分も当然ある。体型が力士向きなのは、今の佐田の海だ。先代は運動神経は良さそうだったけれど、腰が軽かった。重心も、今の佐田の海の方が低いと思う。

そして何よりも、35歳の現在までの勝ったり負けたりの積み重ねで蓄積したメモリーは貴重だ。先代よりも味わい深い速攻相撲を見せてくれる、というところまでのキャリアの力士になった。

親子力士となると、その番付に追い付けるかという話題が、どうしても出る。佐田の海の場合は分かりやすく、小結だ。とにかく挑戦、35歳での挑戦だ。36歳を過ぎても、何の問題もないが。

ところで佐田の海の速攻相撲とその体型は、かつての大相撲解説者で「白い稲妻」と呼ばれた、名関脇の北の洋に非常に似ている。行司泣かせの相撲を取る点も、本当によく似ている。

体型が父親の佐田の海とは違うというのは、過去の親子力士のケースを見ても、これは不思議ではない。父親よりも北の洋に体型が似ている、これは偶然でもよい。

しかし父親と同じ右四つだった佐田の海が、北の洋と同じ左四つからの攻めを見せ始めているのは、これは偶然とは思えない。ウィキペディアも相撲協会公式サイトも、間違っている。

北の洋の新入幕は27歳と遅かったが、佐田の海も新入幕は27歳だ。北の洋は37歳で関脇に返り咲いているし、39歳まで相撲を取った。改めて記録を見ると、凄かった北の洋。佐田の海が目指すのは、佐田の海ではなくて北の洋なのだ。そして、そこも超えるのだ。

大相撲力士名鑑 : 佐田の海




砂かぶりの夜

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。