いよいよの九州場所、NHK福岡では九州沖縄出身力士が総出演の番組が放送された。注目は、やはり熊本出身の正代。その正代、いきなり「カド番の場所の方がやりやすい」というコメント。
正直な話っぽい、というか正代らしい。正代の相撲の型は、確かにカド番の方が本領を発揮しやすいのだろう。とにかく大雑把に思いっ切りやった方が結果が良い、それが正代だ。
「どうなってもいいや」とか「カド番には慣れました」なんてコメントは、ネガティブ正代を上書きし続けているようで、実は逆のようにも感じる。体調さえ良ければ、カド番の九州場所は安寧の日々を送れそうだ。
そしてこの番組で一番印象に残ったのは、新十両の對馬洋だった。185㎝で138㎏のBMI40の体で、トラディショナルな四つ相撲。私の好きなタイプの力士なのだが、ヒザの分厚いサポーターが厳しい現実を思わせた。
新十両はうれしいけれど、「よく上がれたなぁ」というのが正直なところだった。しかし對馬洋の大きなモチベーションになったのは、同期の平戸海の活躍にあったという。実際は平戸海が一場所先輩みたいだけど。
平戸海も実にトラディショナルな相撲を取るうえ、顔まで昭和顔だ。昭和も昭和、高度経済成長以前の顔だ、っていうのは言い過ぎた。申し訳ない。22歳の、令和の青年だった。
四股名も郷土の地名が入って、さらに自然を表わす字で締めている。「平戸海」と「對馬洋」、四股名も昭和的で完璧だ。對馬洋は、同郷で同門の大関の四股名の継承でもある。本当に本格的に、昭和だ。
中卒と大卒で年齢は7歳違っていても、ほぼ同期ということで絆の深さを感じさせた。平戸海の對馬洋へのコメントも、年上に対するものではなく、同期のライバルに対するものだった。
そういう年齢を超えた友情っていうのは、同い年の友情以上の深いものがあると感じるなぁ。対馬と平戸は近いし。魚は美味しいし。福岡からも近いし。行きたくなったなぁ。