昭和50年夏場所の中日、天覧相撲での歴史的な麒麟児ー富士櫻の突っ張り合い。両力士で繰り出した突き・押しの手数は、50発を超えました。
息もつかせぬ突っ張り合い。激しい突き押しで、口からの出血も見られました。しかし、張り手は出ていません。張り手を出す余裕は両力士ともに無かったと思います。出してたら、その間隙をつかれて突き出されていたと思われます。そんな、ギリギリの戦いがありました。
この大熱戦の決着をつけたのが上手投げというのも面白いのですが、あのギリギリの戦いの展開においては納得できる、説得力のある決まり手だったと感じます。
麒麟児の突っ張りも
「突貫小僧」、富士櫻の突っ張りも、回転の速さと下半身の備え、足の運びが見事でした。輪湖時代の土俵を、鮮やかに彩りました。貴ノ花・高見山・二代目若乃花・魁傑といった、花形力士たちとの相撲は華やかでした。
組んだら三段目、まさに突っ張り職人だからこそ見せられる、驚くほどの回転の速い突っ張り合い。これぞ大相撲の、歴史的突っ張り合いでした。
相撲というよりボクシングというより、猛ネコの喧嘩のようでした。やくみつる氏の漫画にも「ご存じキリン児フジ櫻戦」「バチバチバチ」バンソーコだらけの面白い絵がありました。お二人には失礼ですが、優勝の行方と無関係で楽しみだった一番の代表でした。
相撲を観なくなったのは外国人力士だからではなく、「曙」のパワー、押し出し、寄り切りのみの単調な相撲でつまらなくなったからでした。
suberihuさんへ
コメント、ありがとうございます。
当時は普通に見ていた、富士櫻VS麒麟児。ここまでの回転の速さの突っ張りは、近年では見られなくなりました。現代相撲は、パワーの突っ張り全盛ですね。
確かに押し出し、寄り切りの多い昨今の土俵。しかし今の十両・幕下には、楽しみな力士が出てきています。