琴奨菊

9年前の 琴奨菊 の「よかった~~」をまた聞きたいものです





春場所の千秋楽、9勝目をあげた琴奨菊への声援は大きなものでした。前日の照ノ富士戦のこともあり、ある意味で温かい拍手ともいえましたが、そこは勝負は勝負。照ノ富士の立合いの変化に関する記事を先日書きましたが、それは大相撲のあるべき姿を私なりに記したものです。琴奨菊にはまだまだ大関を目指して、次は変化にも落ちないぞという相撲を見せてもらいたいものです。

琴奨菊の、右で相手を抱えてがぶる取口は、強引すぎると批判されることがあります。廻しを引いて寄った方が良いと。しかし琴奨菊は普通なら寄らないような、廻しも引かない体勢からがぶって寄り切れる相撲を見せるようになって大関候補として名乗りを上げた力士でした。今でも覚えています、たしか相手は安美錦だったと思います。その頃は格上だった安美錦を、充分な体勢ではないのに本当にいきなりがぶって勝ったときは衝撃的でした。

入幕した当時、ほぼ同時期に入幕した白鵬・琴欧洲・日馬富士・稀勢の里・豊ノ島が、それぞれ濃いキャラクターを持って登場したのに対し、琴奨菊は地味。期待の若手力士なのに、土俵入りの拍手が少ない力士でした。そんな琴奨菊が大関候補になり、やがて本当に大関に昇進したのは、攻めに徹した取口と、そして日馬富士・稀勢の里・豊ノ島といったライバルとの直接対決に勝ってきたからです。

最近は稀勢の里と日馬富士には分が悪くなっていましたが、変な話、大関陥落を一つの機会にして吹っ切れた相撲が見られるのではとも思っております。それと右四つの相撲をどうするのか・・・琴奨菊は右四つの型の方が重心が低くなります。それに、もともと左利きです。円熟の境地で、右四つの型も完成させるっていうのもアリかもしれません。もちろん、まずは体を万全に持っていくのが一番ですが。

琴奨菊で印象に残っているのは、平成20年の初場所に途中休場して3日後に再出場したときですね。再出場して3勝1敗で、9勝をあげたときは凄かった。ケガの具合はもちろん分かりませんでしたが、再出場で勝ち越すってケースはなかなか見れるものじゃありませんから。そして翌春場所、このときは朝青龍に勝ったのですが、勝った相撲より勝利インタビューを覚えています。満面の笑みで、「よかった~~」・・・あの笑顔と高音の声、異例でした。

しかしまた、琴奨菊の、「よかった~~」を聞きたいものです。元大関が、横綱を破ったら勝利インタビューは?普通にやってほしいですね。琴奨菊にも素直に、「よかった~~」と言ってもらいたいですね。




力士名鑑 : 琴奨菊

 

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