千代の富士と白鵬の直接対決の次は、大鵬を考えてみたいと思います。大鵬VS白鵬ですね。その前に、通算成績に関しては白鵬が上であることは論じるまでもありません。あくまでも、今回も直接対決です。
白鵬が横綱に昇進するとき、大鵬型の横綱の誕生みたいな表現をされていた記憶があります。しかし白鵬は体型的には、大鵬よりも双葉山に近く、理想的な力士体型の横綱と言えるでしょう。相撲の型も、限りなく双葉山に近づいた時期もありました。
ところで大鵬ですが、現役当時から過小評価されていたと感じていました。それは双葉山との比較においてです。というよりも、比較さえされていなかったと思います。どんなことがあっても「大鵬はナンバー2」という立ち位置でした。
大鵬の最初の全盛期は、双葉山時代から20年ほどしか経っていません。今で言うなら、貴乃花を論じるようなものです。そして戦時中の苦難の時代の双葉山と、高度経済成長期の大鵬という時代の違いも微妙に影響しているかも。
双葉山の貫いた相撲の型と土俵態度は、改めて言うまでもありません。そして臨機応変、冷静沈着の大鵬は、「負けない相撲」「コンピュータ相撲」と呼ばれましたが、これにはネガティブな意味合いも含まれていました。双葉山の貫いた、「相撲道」とは違うと。
大鵬と双葉山では体躯も違いすぎるため、もし直接対決したら・・・などということは考えてもいけない、比較の余地もなくナンバーワンは双葉山、そんな空気がありました。そして、そのために大鵬の評価が低くなっていたとも思います。それが昭和40年ごろの、「時代の空気」でした。
大鵬の前置きが長くなりましたが、体格的には少し白鵬が上背がありますが、ほぼ同じですね。体付きは、やや白鵬が重心が低く、真っ向勝負では白鵬有利と見えます。
しかし大鵬が優っているもの、それは差しみの巧さです。両差しも得意です。そして右上手投げとともに、左のすくい投げが切り札でした。左からの芸が中心の白鵬には無いものです。
白鵬は巻き替えは巧いものの、脇は決して堅い方ではありません。右四つになれば白鵬有利ですが、左四つになれば、左右どちらからも技がある大鵬が絶対有利です。前さばきの応酬から、右四つになるか、左四つになるかが勝負の分かれ目です。
ここをポイントにすると、大鵬が左四つに持ち込む可能性が高い・・・う~~ん、千代の富士に続き、大鵬も直接対決なら白鵬に勝つ可能性が高いという予想になってしまう。
このブログの白鵬のコラム一覧を読まれれば、私の白鵬へのリスペクトの想いは分かってもらえると思いますし、「昔の力士が強かった」という意識も持っているつもりはありません。あくまで客観的に、少しだけ大鵬が有利かなぁと思った、大鵬と白鵬の直接対決予想でした。
パワーストーンブレスレット:ローズクォーツで赤房をイメージしました
双葉山至上主義者というのも2017年の眼で見るとかなり無茶なこと言ってた、と記憶します。
「大鵬は32回優勝だが、年6場所制での記録だ。年2場所制で12回優勝した双葉山は6場所制なら3倍以上優勝できたはずだ。少なく見ても12×3=36回以上は優勝できた。32回の大鵬を上回る」という内容の記事かコラムを読んだ記憶があります。
確かに優勝のチャンスは3倍になるだろうが、ケガ等のリスクも3倍になるはずだ。双葉山をスーパーヒーローか何かと思っていたのだろうか。
たぶん戦前の教育を受けた人には双葉山は神だったのだろうが、昭和7年・8年生まれの私の父母は「双葉山は璽光尊で大暴れした人」という印象だったと言う。
いかん、前置き長くなった。私が相撲見始めた昭和40年代前半、大鵬の45連勝の頃はもう全盛期は過ぎていたのか。叩きで格下の相手を捌いていた印象が強い(現在、立合いの駆け引きで白星を取りにいく白鵬に重なる)。
大鵬の全盛期は昭和30年代か?しかも意外と短期間だったようだ。現役の白鵬の全盛期はいつか意見は分かれようが、直接対決=全盛期一発対決なら大鵬が両差しで勝ちそうな気がする。
(ただ、現役で両差し得意の正代や栃煌山は立合いの張り手やカチ上げで白鵬は仕留めてしまうんで、断定はできないのだが)
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
大鵬は24歳の時に高血圧症を発症して、以後は体調を気に掛けながらの土俵となりました。ちょうど昭和40年を境にして、万全だった大鵬と円熟の大鵬に分かれると思います。大鵬は大の酒豪で食事は塩分過多、健康に関する情報も少ない時代でした。白鵬との直接対決なら、白鵬が右四つになれる可能性は3:7ぐらいでしょうか。対戦成績なら、6:4で大鵬だと思います。