日馬富士

お疲れ様、安馬~そしてさようなら日下開山 日馬富士





日馬富士が引退した。何かが起きて、この事態を免れないか。しかし正しい方向性での、そんな「何か」など考えつくことは出来なかった。だから、考えないようにするしかなかった。残念です。

白鵬独走に唯一挑んだ力士。入幕時から圧倒的な力を見せた白鵬、貴乃花を思わせる年少出世の稀勢の里、曙を思わせる長身の琴欧洲、日馬富士はその次の期待の若手4番手の力士でした。

日馬富士がいたから、白鵬独走の時代でも大相撲ファンは楽しめた、その貢献度は計り知れません。などと書いても、そんなことは誰でも知っているので、文章にしても意味は無い。

私がコラムを書き始めた頃の、「ゆっくり太れ、安馬」を以下に載せます。極めて個人的な寂しさを紛らわす行為ですが、読んでもらいたい。読んで、安馬時代の日馬富士に、少しだけ想いをはせてほしいと思います。

『ゆっくり太れ、安馬~~2007年4月10日』
あれは大鵬親方が定年退職される直前でしたので、2005年夏場所のことだったと思います。テレビ中継の解説者で大鵬親方が出演していたときのことです。当時入幕四場所目、若手有望力士として注目され始めていた安馬が登場し、大鵬親方も安馬をほめていました。

アナウンサーが「安馬は早く太りたいと言っているようですね」と訊くと、大鵬親方は即座に「いや、まだまだ太らなくていいですよ」と、きっぱりと答えていました。

取組が終わり、レポーターが「安馬に大鵬親方の言葉を伝えますと、複雑な表情で『そうですか』と言ったきり、しばらく考え込んでいました」と言っていたのが、印象に残っています。

新入幕時、安馬は身長:185㎝、体重:114キロ。大鵬の新入幕時、身長:187㎝、体重:115kg。あれから速いもので2年の時が経ち、20歳で入幕した安馬も今月で23歳になります。体重は10kg増の124kgです。

以前、相撲雑誌の記事の読者の質問コーナーで「安馬関、太って動きが悪くなるのが心配です」との声に、安馬は「オレは上手に太るから、大丈夫だよ」と答えていました。

たしかに徐々に体は大きくなり、それにともなって相撲も大きくなってきました。崩して寄ることよりも、引き付けて正面から寄り切る型を作ろうとしているように見えます。ひょっとすると白鵬の最大のライバルは安馬かもしれません。これから安馬は、どんな太り方をするのでしょうか。楽しみです。(以上、一部抜粋)

以上が10年前のコラムです。このとき日馬富士は2度目の小結で初めての三役での勝ち越し、翌場所は新関脇という頃のコラムでした。この時点で琴欧洲は大関として2年目、大関だった白鵬は翌場所(2007年夏場所)に優勝し横綱に昇進します。

まさに白鵬世代の活躍がこれから始まる、そんな時代の匂いがします。このコラムから5年と数か月後、日馬富士は横綱に昇進しました。昇進後も体重は140kgを超えず、ゆっくり太ったわけです。

今、記者会見を見ました。いつも「一日一番、集中して」に終始する日馬富士が、多くの言葉を使って語りました。伝わりました。そして伊勢ヶ濱親方も、師匠として、親として、見事な会見での対応でした。自身の印象の良し悪しなど意識しない、旭富士らしい対応でした。

もう日馬富士の引退に関して書けば、変な文章にしかならないでしょう。これが最初で最後にしたい。お疲れ様でした、安馬。あなたは大相撲ファンの期待を充分に満たしてくれました、さようなら日下開山、日馬富士公平。

大相撲力士名鑑 : 日馬富士

 

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