大相撲名古屋場所9日目、御嶽海との取組が楽しみとコラムで書いたばかりの、遠藤と阿武咲が相次いで敗れた。特に阿武咲は番付から見て、割りが組まれる可能性はほぼ無くなった。
阿武咲のこれから強くなるイメージ、それを四つ相撲でイメージしたときの力士像は横綱照國。身長も体重も非常に近いこの名横綱に、阿武咲を重ねている。
巨体を前傾にして、じわじわとおっつける照國。押しても、前に落ちることが極めて稀だった照國。そしておっつけ切ると差して、「桜色の音楽」と形容されるリズミカルな寄り身。
さて9日目、北勝富士戦の阿武咲。まずは左でおっつけ、ここでおっつけ切って差せれば理想の展開だった。北勝富士の右はノド輪、このノド輪に我慢できず、上から北勝富士の腕を払うような引き技。
一度、体が離れたところで今度は普通に左を差しにいくと、そこを北勝富士からおっつけられて差せない。反撃する場面も無く、押し出された。大相撲ファンが理想のイメージを語るのは容易いが、実際の土俵では難しい。
言うまでもなく照國の「桜色の音楽」は、「神様」幡瀬川の最高傑作だし。それに現在とは力士の体重が違う・・・って、相手は東富士・鏡里・吉葉山・男女ノ川・名寄岩と、実は今と同じぐらいにデカい。
とは言え、今の若手力士の中でその完成形を想像するに、最も大きなスケールを思わせるのは四つ相撲を完成させたときの阿武咲なのだけど、個人的には。
そして阿武咲のライバル貴景勝は、嘉風戦でヒットアンドアウェイで白星。近年でポピュラーになった、相手の押す手を払う引き技と小刻みな押しのコンビネーションブロー。
千代大龍の相撲を、さらに現代的に洗練し、ほぼ別物として完成させた感がある。皮肉でも何でもなく、徹底すれば相撲の型であるし、横綱・大関に通用すれば素晴らしいし、通用すれば横綱・大関に自分がなるだけだ。
長らくライバル関係にある、似た体型の二人の若者は今、古典派相撲と最先端相撲の完成を目指して、別々の方向性で歩き始めた。という結論にしてしまった。よく分からんが。
「貴景勝相撲」は、ほぼ完成形、というご意見に賛成します。自分の体型から判断して、これが最も適した形であると判断したのだろう。
一方阿武咲はまだ完成形には時間がかかるか。十日目、不調の旭大星にいきなり差しに行くのは、ちょっと違うような気がした。過渡期だから、まだ結論を出すには早いのだろうが、相手によっては押し相撲で勝負しても良いのではないか。
貴景勝・阿武咲、ともに最大の武器は今年22歳という若さだ。大学の相撲部なら4年生の年齢だ。横綱・大関が高齢化している現在、一気に昇進できるチャンスだろう。
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
貴景勝と阿武咲、今までは勢いで番付を上げてきた感じですが、それぞれが「相撲の型」を創り上げてほしいですね。阿武咲の足の具合は気になりますが・・・。御嶽海が好調、また朝乃山というスケールの大きな力士も追いかけてきています。歳はかなり上ですが、遠藤もライバル。逸ノ城も・・・。若手力士の出世争いも、これからが本当の勝負ですね。