照強

照強と正代は正反対、水と油、N極とS極、馬場と猪木ぐらい違う





照強と朝乃山、個性が際立つ取組は照強が制した。左足を踏み出す朝乃山の「不変の立合い」に対して、照強が足を取りに来る確率はかなり高いと思われた。琴風もその一人だ(この日の解説者は琴風)。朝乃山は、どうだったのか?

今日は足取りだったが、照強は小兵でも腰で相撲を取れる力士だ。正攻法で相撲を取れる、そして足も取れる、腰でも取れる、相撲が。興奮して、文章も変になってしまった。

十両の頃は「腰で吊る」吊り出しも見せていた照強、それも大きな力士を相手に。大砂嵐の脇の下に頭を突っ込んだ、あの吊り出しだけではないのだ。栃ノ心や把瑠都の、腕力と背筋力で吊るのとは一味違う吊り出しだった。

異能力士のようで正攻法の相撲が取れる、そんな照強が朝乃山を破ったが、正攻法の相撲を取るような体と巧さと柔らかさが有って、それでも異能相撲ばかり取る正代が照ノ富士を破った。

今日の決め手となった、あの技はナンだ。見たことが無い。左の差し手で巻いているような、体が離れているから完全な巻きじゃない・・・引いているような・・・それも違う、それに合わせて右から出し投げのような、しかし廻しは引いてないから、すくい出し投げ? ナンだったんだ、アレは。

それにしても寄り身の威力もあって、照ノ富士は大きく崩された。凄い、正代。既存の相撲の技術では、推し量れないほどに、正代の相撲は超近代化してきている。ふざけているのではない。

とは言え、寄り身の威力があるって、すり足の寄りにはなっていない。むしろ小兵力士ような足の動きだ、「昭和の牛若丸」藤ノ川に近い。王道ではないが、しかし大型力士には難しい動き。やはりこれは、唯一無二かな? やっぱり、超近代相撲?

とにかく、朝乃山VS正代と照ノ富士VS御嶽海という、理想的な展開になった。ここまで、一番目立たなかった御嶽海が優勝したら、それも良いなぁ。白鵬と朝乃山にも勝っているし。近年では、もっとも面白い優勝争いで千秋楽を迎える、と言って良い2020年7月場所。間違いなく、記憶に長く残る場所になる。

大相撲力士名鑑 : 照強 正代




2件のコメント

  1. 正代は手首から先が差せれば、すくい投げもすくい出し投げも打てる。
    立合いは相変わらず「アゴ上げて胸出して」だ。たぶん注意も指導も数え切れないほど受けていると思うが、断固として変えない。遠藤戦・碧山戦を見ると「正代の相撲は土俵際から始まる」ようだ。
    誰も真似ができない異能力士だが、正代本人に自覚があるのか。不思議で不気味だ。

    照強の足取りは土俵スレスレで決まる。十二日目の琴勝峰戦では右手を相手の左ふくらはぎに当てるだけで決めた。なにか別の決まり手(変形の外無双?)がふさわしいと思うが、これも異能だ。
    朝乃山は全く警戒していなかったのか。わかっていても決まりそうな技だとしても、ちょっと立合いが正直過ぎる。新大関に課題ができた。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    7月場所は、照ノ富士の感動的な優勝で終わりました。良い場所でした。しかし、7月場所が8月に千秋楽を迎えたのも微妙でしたね。そして個性派の力士が、個性的な相撲を取って、ポスト白鵬時代も大相撲を楽しむ、その楽しみ方を実感した場所でもありましたね。

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