大相撲3月場所13日目、若隆景が優勝争いでトップを走る高安に土を付けた。それも本当に久々に、本物の「大相撲になりました」。ただ単に攻守が頻繫に入れ代わったり、土俵際を綱渡りの場面が多かったりの、それだけじゃない、中身が濃い大相撲だった。
それにしても、若隆景がいよいよ目立つ場所に、やっと出てきたって感じだ。思えば十両時代、地道に一桁の勝ち越しで番付を上げてきたところで、新入幕の場所では圧倒的に強い勝ち方をして4連勝、しかしそこで負傷での休場という不運。
世の中厳しいなぁと思っていたが、思いっきり順調に番付を戻してきた地力。とにかく相撲が気持ちが良い、颯爽としている。組んでも離れても相撲が取れるし、得意のおっつけは右でも左でも強い。
そして取口、まず若隆景は根気強い。自分の体勢になれない展開での根気強さ、これは実は昭和の相撲と現代の相撲の一番大きな違いと言っても良い。それは攻め重視で守りに弱い、現代の力士の特徴が影響している。
いくら攻守が入れ代わり、攻防のある相撲でも、淡白な相撲はどこまで行っても淡白だし、根気強い相撲は「大相撲」と呼ばれる。そして根気強い相撲は、これからさらに強くなる可能性も感じさせる。かつての名力士も、そうだったからだ。
身長が182㎝、125㎏ぐらいの筋肉質。体の充実ぶりは、今の土俵では一番だろう。匹敵できるのは豊昇龍ぐらいだな。何やかんや言っても、アスリートにとって体は大事だ。体というか、筋肉は大事。そこを基本にして、分厚くしていく。
明生と霧馬山も今の力士の中では昭和的な体型だが、筋肉の付き方で判断するというのもアレだが、若隆景と豊昇龍に対する期待は膨らむな。一気に行っちゃって、という期待。
さて優勝争いだが、照ノ富士が別人のような速攻で正代を片付けた。本当、片付けたって感じ。昨日まで手堅く手堅く、徹底的に堅実な相撲を取っていたわけだが、アレは何だったんだ。相手が大関になると変わるのか。
これで照ノ富士が優勝候補の筆頭か?本気を出した照ノ富士は凄いぞ、みたいになってる。格が違う取口だった。それに対して、朝乃山は脆かった。詰めの場面で脆いのは、勝負師としてイメージダウンも甚だしい。朝乃山じゃ、まだ照ノ富士の敵ではない、そんな風に映ったな。
若隆景は御嶽海の東洋大学の2年後輩で、四日目の対戦は御嶽海が圧勝した。
>>https://mainichi.jp/articles/20210317/k00/00m/050/286000c
>>先輩としてこの日の対戦を「意識していた」という御嶽海は、若隆景に「まだまだ上には通用しないと思う」と貫禄を見せつけた。
御嶽海も十五日間自分の学生時代の後輩が相手なら、とっくに大関に昇進しているのか。来場所、番附が逆転しそうだ。それで奮起は、しないか。
照ノ富士、左前ミツで一気に正代を片付けた。胸を出して当たってくる正代には最高の作戦か。明日十四日目、朝乃山は照ノ富士相手にどんな作戦を立ててくるか。左上手を狙っていくか。照ノ富士に勝てなければ一生横綱はムリだ。
shin2さんへ
御嶽海と若隆景、何らかの相乗効果が生まれると良いですけど、来場所以降、さぁどうでしょうか。朝乃山は14日目、もろ手突きのような、変な立合いをしましたね。照ノ富士に対して必死なのでしょうが、まだまだ結果を出すことは出来ませんでしたね。もう少し掛かるでしょうね。