遠藤 と 照ノ富士 の名勝負数え唄が美しく始まった、そして 稀勢の里 も名解説





大相撲5月場所14日目、解説は稀勢の里の荒磯親方。最近は何日目に出演していたかを気にしていなかったが、14日目ということは北の富士に次ぐエース扱いかな。当然といえば当然だけど。

その稀勢の里、「よくしゃべる遠藤って、聞いたことが無いですね」だと、自分の現役時は棚に上げて。ここでアナウンサーに、「稀勢の里に言われたら、遠藤も世話ないですね」と突っ込んでほしかった。

表現も巧い。琴恵光の相撲を、「右を差したら、ギアチェンジしますね」は言い得て妙。本当に差した瞬間に琴恵光の腰が下がり、相手の志摩ノ海の体が浮いてしまっていた。

貴景勝の遠藤戦の敗因を、「上から取りに行きましたね。下からいただきに行かないといけない」。これも座布団2枚か。白星は取りに行くのではなく、いただきに行くものだって。

照ノ富士が下から左前廻しを引きに行くのも絶賛していたが、つい廻しは上から取りに行ってしまう、下から取りに行くのは難しいと言っていたのは、稀勢の里自身が上から右上手を取りに行くことが多かったからだろう。

もう一つ言うと、アナウンサーが「琴ノ若は出し投げなど、技術的にも良いものがありますね」と言ったのは、若いから馬力はあるのに、という前提があったと思う。しかし稀勢の里はあっさりと、「技術的には良いものがありますが、馬力が足りないですねぇ」と返し、アナウンサーは意表を突かれていた。

さて本題の照ノ富士VS遠藤。遠藤は中に入って大きくなり、照ノ富士は両手で抱えるという、予想通りの展開になった。照ノ富士が振ってくるときに、遠藤が外掛けに行くというのも予想通りの展開。

そして投げの打ち合いになったが、照ノ富士のヒジがつくのと、遠藤が裏返って体が無くなるのと、どちらが早いかが判断の分かれ目に見えた。しかし、私は足だと思った。投げを打ったときの照ノ富士の右足と遠藤の左足、どちらが遅くまで生きていたかが勝負だと。

結論はほんの一瞬、本当にほんの一瞬の差だけど、照ノ富士の右足よりも遠藤の左足の方が遅れて飛んでいる。遠藤の左足の方が生きていた。それは、照ノ富士のヒジがつくのよりも、一瞬の後まで生きていた。だから形としては、遠藤の左足が生きていて、その体勢で照ノ富士を投げ飛ばしている、となる。

遠藤が裏返ったため勝負は微妙に見えたが、逆にあの角度だったから遠藤の髷が土俵につくのが一瞬遅れた。すべてが紙一重の勝負の演出となっていた。

そんなこんなで、大相撲5月場所14日目の遠藤VS照ノ富士は、立合いから展開から決着までが、本当に大相撲の美しさを現している名勝負となった。これぞ大相撲、そしてここから数え唄が始まるのだ。

大相撲力士名鑑 : 遠藤 照ノ富士 稀勢の里




砂かぶりの夜

2件のコメント

  1. 照ノ富士vs遠藤の対戦成績が照ノ富士の4勝5敗(今日の敗戦も含む)と知って驚いた。番附は大きく差がついたが、実力差はない。照ノ富士が前ミツ取りにいくと思った(御嶽海戦の作戦)が、遠藤が先に中に入る展開になった。
    照ノ富士が小手投げ、審判長が伊勢ケ濱、物言いが付く→差し違えで照ノ富士の負け、が一場所に2回だ。変なジンクスができてしまった。
    千秋楽の照ノ富士vs貴景勝戦は抱えにいく立合いは選択しないだろう。先場所と同じく手繰って廻しを取りに行くか。
    荒磯親方=稀勢の里は若隆景を「おっつけの教科書」と絶賛したのが素晴らしい。おっつけは腕ではなくワキを狙うのが正解だと知った。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    遠藤VS照ノ富士のライバル物語は、第二章を迎えたと言っていいでしょうね。そして照ノ富士と貴景勝は、四つと突き押しだけに、立合いからの展開が勝負ですね。千秋楽に相応しい、ワクワク感があります。遠藤と正代も、来場所以降を考えたら重要な一番。そして若隆景VS琴恵光の右VS右、おっつけVS差し手というのも面白そうですね。

shin2 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA