ケガ以前を超えた 白鵬 と 照ノ富士 と、 宇良 もだね、いよいよ千秋楽





大相撲7月場所も明日で千秋楽。白鵬と照ノ富士、ともに土つかずの直接対決となった。本当に久々の、全勝での幕内最高優勝が決まる。進退を懸ける横綱と、綱取りに懸ける大関の15日間のドラマのクライマックスだ。

白鵬は、やはりかなりギリギリだ。正代戦は、リアルに一発目を当たりたくなかったんだろう。正代の方も一歩目の踏み込みと一発目の当たりは白鵬に警戒されていても、二歩目三歩目の踏み込みは白鵬に見切られていた。だから今日の白鵬の立合いは、もっともリスクの低い立合いだった。

ネットで北勝海が、「奇策は弱者がするもの、横綱がしてはいけない」ってあったけど、奇策かどうか、北勝海とじっくり話をしてみたい。一戦一戦、白鵬は勝つために考えているのは確かだ。

高安戦の早い仕掛けもそうだが、御嶽海戦でも白鵬は極めて慎重に攻めていた。左足で支えながら右足で踏み込み、左足を支点に右からすくっての寄り切り。負担を最小限に抑えた相撲が続く。

正直言って、今の白鵬の調子では照ノ富士有利と見るのが普通だ。一つ言えるのは、横綱は引退しても強い。稽古場では現役時同様の強さを見せる、という話はよく聞く。しかし、それを15日間見せられないから引退する。さて15日目の白鵬、どんな手に出てくるか。

対して照ノ富士、初日に書いた「ニワトリを小屋に追い込むような」前傾姿勢は最後まで崩れていない。実に根気強い相撲だ。それをこの夏場のピークの、7月場所で出来るのだから凄い。今日の高安も、根気強さで負けた。

もちろん稽古も充分だろうが、精神面が充分でなかったら、あんな相撲は取れない。一気に決めたい、という気持ちが少しでもあったら出来ない相撲だ。一気に決めた方が楽に決まっているが、きつい道を選ぶ。なかなか出来ることじゃない。特に近年の若手力士に出来ていないのがコレ、根気強い相撲だ。

そしてもう一人、押し相撲が強調される最近の宇良が、前廻しの良いところを引いた寄り相撲で実力者明生を寄り切った。これからの宇良の可能性の大きさを、感じさせるに充分の相撲だった。役力士への可能性だ。

白鵬も照ノ富士も宇良も、ケガ以前の自分では出来ない、といった相撲を取っている。技術面でも精神面でも、ケガ以前では到達できないところにいる。凄い努力があってのことだろう。明日は千秋楽。

大相撲力士名鑑 : 白鵬 照ノ富士 宇良




砂かぶりの夜

2件のコメント

  1. 白鵬の右膝の状態は良くないのではないか。十三日目の高安戦、右で張って左からとったりを決めた。「張りとったり」で、炎鵬あたりがやりそうな相撲だが、ケガがあるときは「小兵相撲」のほうが確実に白星を手に入れられると考えたか。
    魁勝が奇策立合いを仕掛けてきた朝天舞に圧勝した一番の映像がある。
    >>https://twitter.com/okichan_sumo/status/1416323676392198145
    正代は思いっきり白鵬に突っ込んでいけば良かったのだろうが、基本的にアゴ上げて胸出して受ける立合いの力士だ。白鵬はそれも頭に入れてこの立合いを選択したのだろう。ネットの論調は「白鵬は一度この立合いをやりたかっただけ。栃煌山相手に猫だましやったの同じ」ということだ。
    照ノ富士相手には奇策は通じないし、やらないだろう。千秋楽結びの一番で歴史的なバトンタッチがあるかも知れない。

  2. shin2さんへ
    コメント、ありがとうございます。
    白鵬の右膝は、かなり悪かったと思います。照ノ富士に勝機はあったのですが、続きはブログで。正代戦の白鵬は、正代の立合いを真面目に分析しての、真剣な作戦だったと思います。勝つための執念と努力は、白鵬が未だ一番なんでしょうね。

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