大相撲9月場所も今日は13日目、優勝争いが混沌としている、という話をすべきだろうけど、ちょっと関係ない話をしてしまう。11日目の照ノ富士戦でケガをして、高安が休場した話。
兄弟子絡みで、日馬富士戦で稀勢の里がケガをした場面を、思い出した人も多かったのではないか。そっくりだったもんね。あの相撲での日馬富士の土俵際の攻めは、流れの中で当然であって、稀勢の里の力士生命に関わることになった大ケガは不運と言うべきだろう。
11日目の照ノ富士の攻めについて批判するのも、これは厳しすぎるとは思う。最後に腰を割るだけで勝負は決しただろうけど、熱戦であったことと、高安が照ノ富士にとって強敵であったことを鑑みると、あの土俵際は致し方なかったかな、とも思う。
貴乃花だったら出来たとか、稀勢の里だったら出来たなんてのは酷な話だ。ただ、照ノ富士は廻しを引いていたからね。そこで腰を割る、ってことを出来なくはなかった。
しかし照ノ富士は腰は割らず、高安の胸を押している。これは粘る相手への常套手段で、正しい攻めだ。正しいけど、このとき高安は粘ってなかったから、これはやはり照ノ富士の苦手意識がそうさせたのかな。
そしてここで重要なのは、照ノ富士が正しかったか悪かったかではない。廻しを引いていたけど、最後に体が離れたというのが重要なのだ。日馬富士VS稀勢の里も、最後に体が離れていた。密着していたら、ケガは無かったはず。
突き押し相撲が増えた昨今、力士を守るべき土俵下が、逆に力士の体に負荷を掛けるものになってしまっているのではないか、という危惧がある。本来は上手投げと下手投げの打ち合いや、寄り倒しと打っちゃりのせめぎ合いのときの、力士が受け身を取る時間と空間を与えてくれるのが土俵下だった。
それが突き押し相撲だと、突き出しや押し出しで済んだものが、突き倒しや押し倒しに変換されてしまう。倒されなかったらなかったで、客席まで走って行ってしまって危ない。受け身が無いし、ブレーキも効かない。攻める方も、最後の一手が雑だ。
だからと言って、投げの打ち合いも打っちゃりもなくなるわけではないので、土俵下を変えてしまうことは出来ない。柔らかくしたらというスポーツ未経験者的な意見もあるが、ほとんどの力士が捻挫をするだろう。難しいね。体を絞ってから、ぶつかり稽古に励むしかないだろう。
それと今回、ネットを読んでいて分かったのだけど、ダメ押しを「したらダメなこと」だと思っている人が結構いる。ダメ押しは「するべきこと」として推奨されていることなのだ、って大相撲ファンに言うことではないけど。知らない人向けに。というか大相撲以外の一般社会では、ダメ押しは良い意味で使われてるし。
やったらダメなのは、「これは、ダメ押しとは言えないな」という、相手力士が土俵際で力が抜けた状態や、もう体が無くなって体勢を戻せない状態で、そこで強めの攻めを加えることで、これはダメなことで、だからダメ押しとは言えない。ダメじゃないのが、ダメ押しなのだ。ややこしい文章になったけど。
似たようなことが、ぶつかり稽古や「かわいがり」でも起こっているけどね。特に「かわいがり」はほぼ悪い意味での言葉になっている。ぶつかり稽古はまだ良い意味で使われていることが多いけど。
しかしネットでは大相撲ファンではないだろうが、悪い意味で使われているケースもある。かわいがりよりもぶつかり稽古の方は、本来の意味で何とか持ちこたえているが、土俵際でダメを押されないように。最後は自分が何を言いたいのか、分からなくなったけど。
ダメ押しは昭和では琴櫻がしばしば問題になっていたが、平成の白鵬が一気に悪名を轟かせた。ユーチューブにダメ押し集がアップされている。
>>https://www.youtube.com/watch?v=wigKct9lhkI
白鵬の評価は難しいが、少なくとも現役中はバッシングの標的だろう。個人的には休場していても存在感があることに驚く。照ノ富士は休場中の白鵬とも戦わねばならない。
まさかネットでのバッシングを気にして、十二日目の明生戦に敗れたわけではないと思うが、ちょっと気になった。
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
私のダメ押しのイメージは、まずは貴乃花の寄り切りですね。琴櫻については、危険な行為に関しての記憶はあまり無いですね。悪役のイメージはありますが。勝負がついた後の攻めをダメ押しと読んじゃダメですね。勝負がつく前の攻めがダメ押しですから。白鵬のは、ダメ押しとは呼んではいけない攻めですね。これは容認してはいけません。白鵬の攻めは野球だったら、勝負がついて試合が終了してからホームランを打つようなものですね。それをダメ押しのホームランとは、野球では呼びませんね。