大の里が初土俵からの最速記録で初優勝、5月場所は新時代の到来を感じさせる場所となった。大関を通り越して、すでに横綱を期待されている。本当に長らく、本格的に綱を期待される力士は現れなかったから、待ちに待ったという感じだ。
学生相撲出身力士で横綱になれば、輪島以来2人目。輪島が綱を締めたのは1973年の7月だから、半世紀を超えている。50年以上も経っているんだな。
そして石川県出身の横綱も輪島以来50年以上現れていないけれど、この50年間での日本人横綱の出身都道府県は、東京・北海道・青森・三重・茨城だけだから、現れていない方が普通だ。
ところで来場所の大の里だが、大関への足掛かりか、はたまた一気に大関取りとなるか、が気になるところだけど、優勝すれば当然、一気に大関昇進でよろしいだろう。
かつては平幕優勝した琴錦が、翌場所も小結で千秋楽まで優勝争いをして、時の理事長は関脇を通り越しての「二階級特進の大関昇進」に言及した。
当時の琴錦は23歳、今の大の里と同い年だった。横綱の北勝海と旭富士が引退間際、大関の小錦と霧島にも強かった琴錦。しかし曙・貴花田・若花田が一気に台頭してきて、飲み込まれてしまった。横綱になってもおかしくない力士だったけど。
そういう点では、大の里はタイミング恵まれている。時代背景としては当時と今は似ているが、大の里は琴錦側ではなく、飲み込む方の曙側になる可能性が高い。優勝すれば、来場所で大関昇進ということで何の問題もない、と思う。