貴ノ岩が予想外に苦戦している。二桁勝利ぐらいするだろうと思っていたが、やはり相撲は難しいと改めて感じる。稽古不足と、完全ではない土俵勘。実力差だけではクリアできない、厳しい世界です。プレッシャーも、今場所は大きいはず。
今の十両は実力伯仲していると、以前にも書いたけど。先日、右四つの良い型を持っていると書いた大翔鵬だが、右四つ十分で先に上手を引いた貴ノ岩が敗れるとは・・・。土俵際の崩れ方が、本調子ではないことを物語っていたとは感じたが。
ケガをしたら一年ぐらい休んだらよい、という意見を目にすることがある。実際にプロ野球選手など、普通に一年ぐらいはリハビリをするし。
しかし力士の立場になったら、怖くてそんなに休めないだろう。プロ野球なら長打が打てなくなっても、職人技に活路を見出し、3番バッターから2番バッターに変身することも出来るだろう。
大相撲には勝ち負けがあるだけだ・・・野球ファンに怒られそうだ。プロ野球は甘い世界というのではなく、チームプレーの世界だから、というお話です。
勝ち負けと言えば、炎鵬が負け越した。若隆景に白鷹山と、新十両を確実にした力士のコラムを書いたけど、当然落ちる力士もいる。
炎鵬は舞の海とはタイプが違うとコラムで書いたことがあるけど、「舞の海は特別な存在」と書いたこともある。瞬発力と発想の豊かさ、それを出来る度胸は素直に舞の海は凄い。
そして、炎鵬に対する夢もあります。舞の海とは違う。舞の海には、筋肉質の体格特有の軽さがありました。炎鵬には炎鵬の、相撲の型を必ず見つけてくれると思います。
もう一人の十両力士、「中年の星」安美錦、今場所は新入幕時のような相撲を見せています。原点回帰、などと本人にとっては悠長なことではなく、必要に迫られた目一杯の相撲なのでしょうが、ファンとしては何とも嬉しい、なつかしい相撲。
当時のようにヒザが曲がらないのが切ないし、安美錦も辛いだろうが、千秋楽まで幕内復帰目指して頑張って欲しい。年齢的な意味での「中年の星」ではなく、今場所の相撲には、それを超えた「生き様」を感じる。
と、ここまで十両力士のことを書いて、というか今場所は十両だけでなく幕下、ついには前相撲まで書いているが、幕内の優勝争いに触れていないッス。
一つ言えるのは、鶴竜の相撲には初日から緊張感がみなぎっている。見事な相撲にも、危うく勝った相撲にも、精一杯の緊張がある。「引き技が出たから、そろそろ危ない」とか「横綱相撲を見せ、立ち直った」とか、相撲内容で判断するのはアホだ。
その緊張が、千秋楽まで続くかが焦点なのだ。その緊張の中で、負けることも当然ある。「やっぱり、引いたから負けた」なんて、今の鶴竜を語るのは、2回目だけど・・・アホだ。
高安や逸ノ城に足りないのは、「毎日、同じ力を出せるための我慢」だ。そして「我慢を維持する」ことに対する「緊張感」だ。どこかで甘いところを出してしまうが、そこを超えなければならない。
優勝争いも大事でしょうが、その展開の中でベストの動きを見せようとする、横綱の相撲は素晴らしい。スタミナの問題は分からないが、千秋楽まで「鶴竜の横綱相撲」を見たいと思う。
鶴竜、今日十二日目栃ノ心に敗れたが、魁聖も高安(勝った千代丸って、こんな強かったっけ?)も敗れた。
明日十三日目、鶴竜は予定された御嶽海戦の割り崩しで魁聖と対戦、両大関は3敗対決で、星の潰し合いの中、鶴竜が抜け出して優勝と思うが、先場所も終盤4連敗、安心できないのは確かだ。「緊張感」を千秋楽まで維持できるか。
あまり書きたくないが「貴公俊事件」は貴乃花部屋の他の力士にも影響はあるだろう。殴られた貴西龍はまだ付け人の仕事をしているのだろうか。
大相撲は肉体面だけでなく、精神面の影響が大きいスポーツだ。多分全相撲部屋中、一番プレッシャーが大きいと思うが、残り3日、貴源治も貴ノ岩も集中して頑張ってほしい。
今更なことだが、やはり炎鵬の94㎏(もっと軽い?)は小さい。十両で2番目に小さい照強で115㎏、20kg以上重い。四日目に炎鵬vs照強戦が組まれたが、照強に首を抱えられて根こそぎ放り投げられた。
>>https://www.youtube.com/watch?v=GV0wJos__Pc
スピードは保持したまま、増量も検討しないといけない。難しいとは思うが、スター性は抜群、華のある力士だ。頑張って挑戦してほしい。
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
鶴竜VS栃ノ心の相撲は良かったですね。短くも、熱戦でした。迫力ありました。
「貴公俊事件」は、あとあと「あれがあったから、今がある」と言えるような未来予想図を願っています。貴乃花部屋の若手力士は礼儀が出来ていない、などとネットで出ております。真偽のほどは分かりませんが。劇薬が良薬になることを祈ります。
そして炎鵬は、体重が増えても良いと思う、数少ない力士です。強くなって、戻ってきてほしいものですね。