今回も、御嶽海について。私はこのブログでも力士名鑑のページなどを作って、昭和初期から現在までの力士を紹介しているが、やはり昭和の力士や取口は好きだ。
昭和の力士に比べて増加していく体重には批判的だし、最近のケガの多さはぶつかり稽古の不足にあるのでは、とコラムでも書いてきた。明らかに大相撲に対して、保守的な考え方だ、と思う。
しかし・・・例えばウサギ跳びが体に良くないと言われ出したのは、私が中学校のころと記憶している。小学校のころに見ていたスポ根ドラマには、たびたびウサギ跳びが登場していた。
村野武範が演じるラグビー部の先生は、ウサギ跳びで何十段もある石段を上っていた。酒井和歌子演じる先生の「何で、こんな意味の無いことをするんですか!」と言う問いに、「意味が無いから、意味があるんです!」・・・ウサギ跳びそのものには、意味は無かったのか。
スクワットにしても、藤波辰爾(当時、辰巳)が若手のころに、スクワットを延々と続ける姿を海外のメディアが放送するということがあったが、そのスクワットは今とは形が異なるはずだ。
健康番組でも、食生活に関する「常識のウソ」的なものが最近多い。保守的でありながらも、疑問を持つことも必要かもしれない。
それで、ぶつかり稽古について。押して、押して、首根っこを押さえられて引っ張られ、そして転がされる。そうやって、力士はケガに強い体を作る。そして、御嶽海は巧く逃げる、みたいなことを舞の海が言っていた。
最近の土俵では投げられたり叩かれたりしたときに、きれいに転がれない力士を見る場面がある。腹から落ちて、同時にヒザも打っているように見える。
体重の増加もあるだろうが、ぶつかり稽古でスタミナが目一杯のところで転がされても、きちんとした投げられ方を出来ないままスタミナ切れ、ということはないだろうか。
だから体重を増やし過ぎだ、という文脈で今まで書いてきたのだが、御嶽海を見ていると別の切り口もあるかも、とも考える。柔道もプロレスも、受け身は受け身オンリーの練習がある。
大相撲も、ぶつかりから受け身を切り離して、受け身オンリーの稽古、という手は無いか? 押しは押しだけ、転がるのは転がるだけと。
しかし柔道とプロレスを例にすると分かるが、畳やマットに比べて土俵の固さは半端ないなぁ。考えてみると大相撲は厳しい、今さらながら。
だから、スタミナ充分の状態で、正しい転がり方を身に付ける稽古を・・・もちろん、体重増の件もあるが、それはまた別の話として・・・何か話が極端になってきたかなぁ、この辺で止めとこう。
隆の勝が「転がらないぶつかり稽古」と言えばいいのか、ちょっと独特のトレーニングをやっていた。
>>https://twitter.com/chiganoura_beya/status/1020826114455814144
>>https://twitter.com/chiganoura_beya/status/976610071110066176
どちらの動画も本場所中の稽古なので、これが現在の角界の主流になっているのかはわからない。
「ぶつかり稽古」がウサギ跳びやスクワットのような、トレーニングの意味を喪失したものに変わってしまったとは思わない。千代の富士と北勝海のぶつかりは現在見ても凄い。
ただ「三年先の稽古も、大ケガしたら意味がない。“今、この時の稽古”を自分なりにして、今、結果を出さないと」と言い切った御嶽海がぶつかり稽古を好んでやるとは思えない。
だが、最新のNumber誌によると、御嶽海も稽古量は増えてきているという。「革命児」御嶽海の今後に注目したい。
(以上>>http://number.bunshun.jp/articles/-/831456 参照しました)
shin2さんへ
コメント、ありがとうございます。
動画の再生は上手くいきませんでしたが、内容は何となく分かります。「転がらない、ぶつかり」。私がコラムで書いていたのとは180度、逆のぶつかり稽古が行われているということだと思います。とにかく、これ以上ケガをする力士を増やしてほしくないですね。御嶽海の活躍と力士のケガ、しっかりと見つめていこうと思っております。
今の力士はかばい手を使えないから怪我をすると思います。
コンドル尾崎さんへ
コメント、ありがとうございます。
かばい手は、審判になかなか認められないので、負けになる可能性が高くて難しい部分もあると思います。