高安の屈強な体を見ていて、武蔵丸を思い起こすのは私だけでしょうか。発達した上半身に、少し長めの足。体型としては一回り小さいかもしれませんが、高安と武蔵丸はダブります。
一発一発の突きは威力充分、しかし回転は速くはない。廻しの引き付けは力強い、しかし四つ身が巧いとは言えない。相撲内容も、高安と武蔵丸には共通点がありますね。
ところが武蔵丸は、あるとき劇的に変化します。左四つから右四つに変わるという、あまりにも分かりやすい劇的な変化。右四つになった武蔵丸は、かいなを見事に返すと相手はなすすべが無くなりました。
左四つ時代(大関時代)、四つ身の巧さの違いで歯が立たなかった貴乃花。それが右四つになって武蔵丸がかいなを返すと、今度は貴乃花がまったく勝てなくなります。
武蔵丸の話が長くなりましたが、高安にもそういう可能性が充分にあると感じます。大関に、というよりも綱を狙える大関になれると思います。相撲内容が荒削りのまま、大関候補にまでなっているのですから。
今は地力で勝っているとの印象で、「高安の相撲」で勝っているという感じではありません。
まずは立合いの当たりの強さ、そして突っ張りの伸び、この流れを作ってそのまま突き出すか、有利な四つ身に持っていく、その辺を磨いてほしいですね。
武蔵丸にかいなを返された力士は、まるで熊に抱きつかれたようにして土俵を割りました。熊のような高安の姿を見てみたい、と思っていますが、ところで四股名はどうするのかな?
「里」がつく四股名なら、ますます熊っぽくて良いですね。