禊鳳 北の富士

北の富士と並んだ禊鳳 はやっぱりルー大柴に似ていた?





ギョロ目に濃い眉に、しかめっ面。がっちりした体に胸毛が印象的な力士でした。ケガのため25歳の若さで引退し、廃業しましたので、年配の大相撲ファンでも記憶にない方が多いかもしれません。

昭和41年秋場所に、22歳で入幕した禊鳳の幕内デビューは強烈なものでした。この場所で禊鳳は12勝3敗、敢闘賞を受賞します。181cm・120kgの筋肉質の体で、やぐら投げを得意としたパワーの相撲を取りました。

同年代で、だいたい同時期に入幕した栃東・陸奥嵐・二子岳といった、三役まで上がった力士たちより一回り大きい、当時の平幕の力士としては平均以上の体格だったと思います。

さて、さらに強烈だったのは2場所目の昭和41年九州場所です。禊鳳は、前頭2枚目まで一気に番付を上げ初日にいきなり横綱栃ノ海と対戦、この小兵の業師横綱を力でねじ伏せます。ちなみに栃ノ海はこの場所限りで引退しました。

そして2日目には大関の豊山を破り、3日目の対戦は横綱柏戸。188cm、140kgの柏戸は禊鳳同様に筋肉質の体で、相撲は力感に溢れる展開となりました。がっぷり四つになって、廻しの引き付け合い。

あまりに強烈な引き付け合いのため、両者の体はほとんど直立状態に近いものになりました。両者ともに爪先立ちになるほどの力の入った展開となり、最後は禊鳳が勢いで勝ってしまいます。

とんでもない力士が現れた、どこまで勝ち進むのかと思わせるものでした。しかし、4日目からは上位陣にまったく歯が立たず、3連勝から連敗続き、結局4勝11敗に終わります。

このときの前頭2枚目が、禊鳳の最高位となりました。その後は7勝や8勝といった地味な成績が多く、特に活躍することも無く、ケガもあって幕内在位14場所で引退します。あの鮮烈なデビューは何だったのか。

それでも、やぐら投げの大技と柏戸の巨体を見事に引き付けた豪快な取り口は忘れられません。一瞬の輝きは、ずっと記憶に残るものですね。

力士名鑑 : 禊鳳




砂かぶりの夜

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