「白い稲妻」、立浪四天王の元締めの北の洋。左を差して右のおっつけで、一気に走りました。一気に走りすぎて詰めをあやまり、しばしば土俵際でもつれ、行司を悩ます力士でもありました。
若乃花をわたし込みながら、下手投げも打ちながらの寄り倒す北の洋。軍配は若乃花の上手投げを見て若乃花に上がりますが、物言いついて差し違え。
そしてこれが、「ヒゲの伊之助、涙の抗議」で有名な栃錦戦。北の洋の速攻に、栃錦は俵に爪先立ちで粘りました。ここから両力士が、ほぼ同時に倒れ込みます。軍配は栃錦、しかし行司差し違えで北の洋の勝ちとなり、ヒゲの伊之助は謹慎処分。北の洋は、このときの伊之助をいつまでも気の毒がっていました。
定年後は「緒方さん」として相撲解説、やわらかい口調の解説でした。出羽錦のユーモラスな語りとちょっと違った、誠実な解説で若貴全盛時代を語りました。そういえば北の洋も出羽錦も、39歳まで現役で相撲をとった力士という共通点がありましたね。稲妻と称された速攻で、技能賞は5回も獲得しています。