琴櫻 土俵入り

朝乃山 は大関、さらに横綱を狙うならば悪役的で強引な相撲をもっと、 琴櫻のように

今一番声援が多い力士は、やっぱり朝乃山だろう。その声は大関復帰に期待するものであり、さらに横綱への期待も含まれている、と想像できる。年齢的に考えても、大関復帰の可能性は高いと思う。今回は大関はもちろん、横綱への可能性について書く。

朝乃山への声援の多さには、もちろん大関・横綱への期待だけではなく、出場停止処分が重過ぎたという声も影響していると思われる。それは真面目そうで優しそうな風貌と相まって、大相撲ファンの同情票を集めている。

大関昇進前後の成績は、貴景勝や正代や御嶽海よりも安定していた朝乃山。しかし幕内で13勝を上げたことは、まだ無い。安定しているが、優しそう。これが朝乃山のイメージだが、当たっていると思う。しかしこのイメージは、横綱を狙えるイメージではない。

変わらないといけない。ここで、一人の横綱の話を書く。琴櫻、今から50年前に横綱に昇進した力士だ。出場停止処分を受けたときとは様変わりした番付は、琴櫻の横綱昇進時と共通した部分が見つけられるからだ。琴櫻が横綱に昇進したのは32歳のとき、当時は北の富士が一人横綱だった。

同い年ながら一門の大先輩だった大鵬になかなか勝てず、4勝22敗。一門の枠を超えて、胸を出してくれた佐田の山には5勝12敗。ぶちかましは怖いが先輩には弱い、琴櫻は実直な後輩力士という印象だった。

本当かどうか真偽は分からないが、琴櫻のぶちかましで胸が真っ赤に腫れた横綱柏戸に、取組後に謝りに行った、という話も聞いたような。当時の琴櫻なら、ありそうなことだ。

しかし横綱時代の琴櫻は、むしろバリバリの悪役力士という立ち位置だった。何かが吹っ切れて、それで横綱になった、と思う。取口もぶちかましからの押し相撲から、豪快な吊りや投げが増えていった。

朝乃山は真面目そうで優しそうで、そして白鵬や照ノ富士といった先輩力士に勝てなかった。少し琴櫻とイメージが重なる。琴櫻は取口も変わった。悪役的な相撲に変わった。そして横綱になった。

そう言えば先場所、新大関の霧島戦。豪快に投げ飛ばした後の朝乃山は、少し悪いヤツって顔をしていた。そういう風に見えた。霧島戦のような、以前の取口よりも少し強引な取口で何かが吹っ切れたような相撲を取ったら、横綱が見えてくるかもしれない。その前に、大関だったね。

大相撲力士名鑑 : 琴櫻 朝乃山




砂かぶりの夜

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